あまりに綺麗すぎる言葉

2016年09月14日 14:40

あるところに、幼い少年と、その少年と同い年の少女がいました。

人と人との巡り合わせの中で、自然と出会った二人には・・・
それぞれ、ちいさな傷がありました。

少年は、自分の言葉を持たなかった人
自分を信用せず、自分の言葉も信用しない。
本の中の言葉や、誰かの言葉だけを信じて・・・
自らもそれを使えば、誰も傷つけずに済むのだと。

少女は、人の綺麗な想いに触れられなかった人
人を信じたくても、いつも何かに裏切られ続けた。
その傷を自分で治せない幼い少女は・・・
心の不安を宝箱に閉じ込めて、いつしか忘れていた。

二人はいつの間にか・・・抜け出せない渦へと落ちて行く

少年は、綺麗な言葉だからぼくも使おう、そんな理由で告白の言葉を口にした

少年にそのつもりはないのに、少女はそれを受け取ってしまう
どこかのだれかに創作された、あまりに綺麗すぎる言葉を、言葉のままに

少女は、その言葉を、少年のことを・・・
悪意の無い嘘の告白を信じていく・・・
自らの傷を直してくれるかもしれないと、有りもしない希望へ目がけて

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どちらも悪くない・・・けれど、どちらも悪い。
そんな事が起こるとしたら・・・
お互いに、選ぶ道を少しずつ間違えてきたまま出会った・・・
そういうことなんでしょう。

その後、少年と少女は、上手く行くことはないでしょうね。
それでもお互い・・・経験を糧にして切り開いた、別の未来で輝けることでしょう。